那須紅葉登山 2011.10.08 「初登頂・南月山」編 ⑦ 南月山から牛ヶ首

本格的に歩き出して2年目になる。

初めは筋肉痛に悩まされてきたが

だんだん、それが少なくなってきた。


健康を目的に歩いてきたわけではないけれど

思わぬ副産物、といえる収穫があった。


だから

歩くことは楽しい。

歩けない休日なんて、退屈以外の何ものでもない。



姥ヶ平、那須の紅葉・・・

これだけ多くの人が目指すのは「きれいな紅葉写真」を撮りたいからだろう。

もちろん、僕もその一人であった。

けれど

「誰の目にも留まらない」ごく普通の那須が、僕は見たい。


立ち枯れする木。

これは自然、なのだろうか

風のせい?

気候のせい?

僕には、それはわからないけれど

自然を感じて

そこに純化すること。


人が自然に敬意を払うなら

紅葉以外に目を向けることも大切、って僕は思う。

花や実がすべて落ちたとき

茎や枝は

これでもか、と自分の存在をアピールし出した。


いまにも動きそう。

時折すれ違う人がいて

追い越す人がいる。


前にも後ろにも、必ず人はいる。

されど

ずっと一人ぼっちになる時間がけっこう多い。


風の音でザワザワいうと

「クマ?」

なんて顔が引きつる。


目の前にクマが現れたら

僕はどういう行動になるのだろう。


考えると

僕はだめだ。


足早に

歩くことにする。

12時47分。

日の出平を過ぎると

姥ヶ平が眺められる。


あっ

姥ヶ平の脇に池がある?

・・・


しまった

「ひょうたん池」に行くのを忘れた・・・


もう時間的にも

体力的にも

姥ヶ平の往復は厳しい。


泣く泣く今回はあきらめた。

「姥ヶ平に忘れ物」を置いてきた。

来年、取りに戻らないと。

下りの登山道。

切り立った崖の先端に立ったとき

目前に「裏の茶臼の面」が大きく現れた。


ガイドブックなどに掲載される、プロの写真家さんが撮影するショッ

トは、ここからのものみたい。

岩を登る時よりも

下る時はたいへん。

ゆっくり両足を垂れ下げて

地に着いたら手を離す。


同じ道を歩いたとは思えないギャップ。

山歩きの落とし穴であり

冒険心を煽る醍醐味でもある。

「よっこいしょ」

僕は大きな声で連呼した。

異様な「いろ」であり「つや」である。

いかにも「防水仕様」という感じであるが

実際はいかがなものだろう・・・

13時06分。

牛ヶ首に戻る。


相変わらず風が強い。

ウェアの袖がブルブルと靡く。

まるで台風リポートをしている感じだが

動画を撮っても

声は出せなかった(笑)

行きでは気づかなかったが

白い岩肌に花が咲いていた。


非常に小さくて

岩に隠れたような控えめな花であったが


紅葉に負けない

「私を見て」というメッセージが

僕には伝わった。


時間が変われば

太陽の位置も変わる。

朝は真上にいた太陽も

いまは西に傾いて。


噴気孔の原色をじっくりと見た。

卵の腐ったようなニオイとともに。


カメラのバッテリーも警告ランプが点灯しはじめた。

ゴールまで切れないよう

祈りながら

足早に行きます。→http://d.hatena.ne.jp/nasuchari/20111031#1320059102