ほんの一瞬。それでも、ここは那須・・・

本来ならば

相方さんと一緒に

遠くへ出かけるはずだった。



けれど

時として

思うとおりに行かないときもある。



急な用件で

那須へ運転手を任されることになった。

行きと帰り。


間があるので自宅へ戻ることは可能だった。

されど

そこは「那須」。


ほんのわずかでも

そこに居られることが

僕には嬉しかった。



待っている間

僕は一人であったけれど


ケータイの向こうには

相方さんがいて


なんとなく止まったパーキングから


なんとなく歩きはじめたのである。

那須塩原市西岩崎。

ここに無料のパーキングスペースがある。

県道30号線。

塩原からの森の道を抜けた下り坂。

前方に那須岳が眼に飛び込んでくる・・・


まるでアトラクションに乗っているような場所。

14時10分。

およそ3時間の待ち時間を埋める「ウォーキング」が始まった。

すぐに那珂川にかかる「那須高原大橋」を渡る。

所々コバルトブルーに輝く水面が気持ちよい。


釣りやカヌーをする人はこの日はいなかった。

いつもはクルマで通る道を

初めて歩いてみる。


どこ、という目的などないけれど・・・


14時21分、左折。

「素人が取ろうとすると刺されます」と標準語ではいうらしい(笑)

これからスズメバチのシーズン到来。

歩く人間としては

「熊鈴、では効果のないスズメバチ」に対して

戦々恐々とする時期の到来でもあります。。。


14時42分。

家が点在して歩く人も見当たらない道沿いに

小学校はありました。


登下校は「スクールバス」でお出迎えの様子。

専用のバス停がありました。


頭上には雲ひとつない青空。

アスファルトの照り返しは

とても暑いです。


やや吹いている風も

まったく動じてくれません。。。

息もゼイゼイ。


那須岳方面に

歩いて北上中。

知らないうちに

アスファルトは高度を上げていました。


那須街道が渋滞していることで

裏道にあたる

この道も

多くの迂回の車でたいへんな賑わい。


歩いているのは

僕ただ一人。。。


歩道がないので

けっこうひやひや。

15時04分。

「滝のある釣り堀・清流の里」に到着。

ちょうど手前に映る女性が

大きな魚を釣った瞬間を目にした。

もちろんシャッターは間に合いませんでしたけど。。。


そして

看板に「南が丘牧場・ここから3.2キロ」との案内が。

17時にはクルマを迎えに使わなくてはなりません。


ここまで歩いて2.5キロ、約1時間。

どう考えても

南が丘牧場まで

ここからさらに歩くことは不可能でした。


なので

泣く泣く

今回は引き返すことにしました。


「歩く」とは

時として決断を迫られるもの。


ある意味

清流の里さんは

ちょうどいい転回場所だったのかもしれません。



太陽はやがて夕陽モードに変わろうとしていた。

たくさんアゲハは飛んでいて

いくつもシャッターチャンスはありました。


アゲハさんも

疲れていたのでしょう。


ようやく応じていただけました。


そして

赤とんぼ。


黄金色の稲穂には

秋を感じさせる瞬間がいっぱい。


風が吹く

風が吹く


ひかり輝く

黄金色の髪がなびくように


ススキにぶら下がり

虫たちは想う。


もうすぐ

緑は赤らめて

やがては

寒くて白い

銀世界がやってくるときのことを。。。



僕は那須に居る。

ほんのわずかな時であっても


秋を感じられた

那須が好きだ。