初めての「富士登山」2011  ⑥ 〜富士宮口・八合目〜 2011.08.14 登り・いよいよ深夜の頂上決戦へ

山小屋にザックを置いて外へ出てみた。

すでに10人くらいはふとんで横になっていたが

まだまだ満室になるはずの部屋はガラガラだった。

13時53分。

八合目から上を望む。

先ほどまで「下山のピーク」を迎えていたが

いまは落ち着いている。

時間が経つにつれ、徐々にご来光目当ての「上り」の人が増えてくるはずだ。


ここで、いったん仮眠をとる。


16時の夕食までゆっくり体調を整える。


ZZZ・・・



ゴー・・・・

山小屋への荷物運搬用のブルドーザーがやってきたようだ。

まもなく食事の時間になるので

ちょっとだけ外へでてみる。

15時55分。

外は風が強く

やや肌寒い。


空気が薄い、という感覚はよくわからないが

なんとなく頭がスーっとした感じ。


地平線が弧を描いている。

新七合目あたりから

「地球は丸い」と実感できるようになる。

山頂よりも高い、であろう積乱雲。

スタートの富士宮の天気はどうなっているのだろうか・・・

16時14分・食堂。

畳の部屋に通され

名前を呼ばれたグループが一斉に着席する。

富士山の夕食は「基本」カレーライス、である。

全員がそろってから「いただきます」となる。

が・・・


僕の隣に寝ることになった男子3人が行方不明・・・


もちろん、全員そろうまで食べられません。


しかたなく別の3名さんを先に通して


16時30分、いっただきまーす!


集団での食事。

まるで修学旅行みたい。


トレー、スプーン、コップ、食べ残しは各自、分別のうえ片付けます。


お茶は8名でやかん1個。

一人「一杯」厳守です。

「富士山は水が貴重です。ご協力お願いします」

これが富士山の合言葉。


あっという間に食べて


すぐに部屋に戻ります。


トイレは200円。

宿泊者は無料。


200円は「維持管理費」に使われる。

決して商売で有料になっているわけではない。


富士山の山小屋は

「風呂なし」「水道なし」「テレビなし」である。

ふとんに戻ると

ご来光登山にあわせて「防寒着」などの着替えをあらかじめしておく。


17時を過ぎた。

本来なら

雲海に富士山のシルエットが映る

「影富士」がきれいなはず。

けれど

大半の宿泊者はすでに寝ている。

ごそごそ起きるタイミングではない。


僕も少しでも仮眠すべく

横になった。




・・・・・・・・・・


暗くなって22時を過ぎたころ

隣の3人組が小声で騒ぎ始めた


「下からたくさん登ってきている。早く動かないと頂上で座れないぞ」



山小屋の人は

「午前1時30分になったら起こしにきます」といっていた。

ご来光の予定は午前4時30分である。


彼らは23時になる前に


早々八合目を出発した。



僕は「午前0時」の出発を考えていたので

23時におきて準備を開始。

外で実家と電話で話した。




弱い風が吹く。

気温はかなり下がっているようだ。


速乾シャツ2枚+フリース+インナーダウン+ウインドジャケット

かなりの厚着。

けど

ここから上は「真冬」である。


これが最低限の用意である。


23時57分。

月をながめる。

いつも見ている月よりも

その光は力強い輝きを見せる。


目が慣れると

うっすらと雲海がキレイに見えてくる。

市街地のオレンジの夜景

そして

登山者のヘッドランプが

まるでホタルのように輝く。


いよいよ午前0時、八合目出発。

ヘッドランプを持たない登山者が多いことに驚く。

街灯もなく

月明かりも反射しない

夜中の登山道は

たとえ一部分であっても

ヘッドランプの光が役に立つ。


0時30分

2本の柱、通過。



軽い高山病であろうか


体に変化が起こる。


吐き気


頭は重くなり


息はゼイゼイ。


5分歩けば5分座る悪循環。



誰も助けてはくれない


みんな必死であるから。



登山道の脇には


暗闇に人が座ってたり、寝ていたり。


ぐったりしてりる人は


そこらへんにいた。



つらかった。


もう歩けない・・・・


何度も思った。



ザックは重い。


ここであきらめても


下山も岩を飛び越えてゆかないといけない。


とにかく休みたい。


近いのは9合目だった。


もう


上に歩くしかなかった。。。。


0時42分。

九合目到着。


山小屋は暗くなっていたが


周囲にはたくさんのひとが休んでいた。


風が冷たい。


どこか座りたいが


みな埋まっていた。



疲れない鉄則は「30分から60分歩き続けて5分から10分の休憩」がベスト。


僕はすでに

「5分あるいて5分休む」を繰り返し

体は弱まるばかりだった。


「死ぬかもしれない」

そこまで追い込まれていた。

けれど

「頂上にゆかなくては」との想いだけは強かった。

なんとかなる。

そう信じていた。

ちなみに九合目の自販機。

最低400円から。


どんなにつらくても

カメラは収めた。


最後の1枚が「もし自販機だったら」・・・


そんなこと

考える余裕すらなかったけど・・・


もう頂上はちかい。


だが


本当の辛さはここからだった。



引っ張るように


続きます。


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