日光・男体山「登拝講社大祭」の日に。 2011.07.31 男体山・上りチャレンジ中 ②

四合目。

7時20分。

いままで一緒に登ってきたカップルは3合目で休憩をしたため

後ろに姿を見ることは出来ない。


もちろん

前にも人の姿はない。

雨は止んでいた。


けれど

森の葉に溜まっていた「しずく」が

大きな粒となり

風にあおられて「バン、バン」と大きな音を立てて落ちている。


まるで雨が降ってきたかのように。


誰もいない


鳥も虫も・・・


だから


雨粒の落ちる音が

いまの僕にはいちばん怖い。


鳥居をくぐり

ふたたび森の中へ・・・

ごつごつとした道。

連日、雨が続いたため

岩と土でくりぬかれたような登山道は

まるで「鉄砲水」の跡のよう。


トレッキングシューズで

ゆっくりと

足を固めながら進んでゆく。

7時38分、五合目到着。

木のスキマから見える下界は

あいかわらず霧のなか。


まぁ、雨が止んでくれただけありがたい。

簡素な避難小屋で朝食をいただく。

自宅に電話をして「生きていることを」報告して

梅のおにぎりを食べる。


歩いているときは無我夢中。

だけど

おなかはすくらしい。



7時46分、小屋を出ると「初めての太陽」が。

これは先が明るい。

自然と足元が軽く感じる。

だんだん「どこが道なのかわからない」岩場ばかりになる。

よっこいしょ・・・

パズルを解くかのように

進みやすい岩をチョイスする。


我に返ると

どっと疲れが足にくる。

なので

なるべく「自然の岩パズル」を黙々と解いてゆく。

8時01分、六合目。

いったん開けたが

再び森に進む。

8時22分。

大きな岩場に出たところで

「ザー・・・・」

そう

恐れていた大雨が。


僕より先に登って頂上にいる人がいる。

だけど

初めての僕に危険はないのか・・・

ここで

大きな決断を迫られます。


進むか下るか。


大げさかもしれないけど

山は危険がいっぱい。

昨日のように「あきらめる勇気」も時として必要だ。


迷った。


けど


やはり「ここまで来た」のである。


悔いの無いよう


ゆっくり進むことにした。


雨が精神的な負担となる。


体は正直重かった。


8時29分。七合目。

この画像は「七合目避難小屋」から望遠で写したもの。

雨は滝のように降り

小屋で一時退避していた。

およそ5分くらい休んだ模様。


いくら待ってもやまないので

とにかく進む。


ただ視界は「足元」だけになり

写真はほとんど撮れなかった。

岩場にさらに苦しめられながら

9時01分、八合目「瀧尾(たきのお)神社」到着。

ここに入れないが小さな社務所があって

屋根の下で態勢を整える。


眼下の中禅寺湖はもちろん見えない。


風景を楽しむ余裕はすでになかった。


あるのは「頂上制覇」だけ。



うぉ・・・マジかよ・・・・


それしか言葉にできなかった。






よく「山登りの最中ってどんな気持ち?」と聞かれます。

ぼくはほとんど

「こんなにつらいことなぜやってるんだろう」って

思ってたりします。


暑い

痛い

先の見えない不安


そんな葛藤ばかり。



けど

頂点に立つときを

ただ、ただ目指して

黙々と歩くのです。



途中

花や虫や鳥

下界の緑と空と雲。


歩いた人間だけが見られる瞬間

それがあるから

がんばれるのかもしれない。



雨は降っています。

けど

もう上は近い。


僕はまだ進み続けます。

ということで


続く。